綾辻行人の館シリーズ

暗黒館の殺人 (上) (講談社ノベルス)

暗黒館の殺人 (上) (講談社ノベルス)

暗黒館の殺人 (下) (講談社ノベルス)

暗黒館の殺人 (下) (講談社ノベルス)

綾辻行人の「暗黒館の殺人」(上下)を読んだ勢いで、講談文庫の館シリーズ一式、読み直しちゃいました。

十角館の殺人 (講談社文庫)
シリーズ第一作「十角館の殺人」は1987年の作品で氏のデビュー作。今から二十年近く前のミステリ状況といえば、社会派が出尽くし、本格ミステリも停滞気味。書店の棚も、アクション系、伝奇系エンターテイメントにおされて、いまひとつぱっとしませんでした。

「誰か面白いミステリくれ〜」という声なき叫びがあがった時代、彗星のように現れたのがこの作品。
本格を様式としてとらえ、新たなる命を吹き込んでくれました。

空間を館内に設定し、登場人物を限定し・・・これはまさにゲームの手法で、今の時代らしいといえばそれまでなのですが、それだけでなく、綾辻作品ならではの、闇から「誰か」の影が立ち上り消えていく、独特の存在感が物語の要となって、ムード満点。トリックをしっていても、なお作品として面白く、何度読み返しても楽しめます。


というような解説は、ミステリマニアにまかせるとして、リリース順にたどると、作家としての技量も着実にあがり、ますます面白くなるのは、読者として幸福です。