光とともに1,2 機長のアナウンス、一緒に遭難したい人2

光とともに… (1)

光とともに… (1)

谷甲州「パンドラ(上下)」を実家の父の書斎からくすねてきたというのに、なかなかまとまった時間がなくて読めません。




なのに、図書館でうっかりみつけてしまった「光とともに −自閉症児を抱えてー」の1・2は読めちゃうんだから、マンガって、読みやすくていいメディアです。



もとはといえば、NHKで作者の戸部けいこさんがインタビューを受けているのを見て興味がわいたのですが、1話読むごとに涙。2冊読み終わった頃には、涙拭きのタオルがぐしょぐしょになっておりました。



自閉症といえば、映画「レインマン」や、オリバー・サックス「火星の人類学者」で、なんとなく、どうやら脳神経系になにがしかの異変があり、健常人とはまったく違った感覚で捕らえた世界を持っているらしいこと、というほどの理解をしていました。(以下はオリバー・サックスの前述の著書からの引用)



「わたしの記憶には抑圧されたファイルはありません」と彼女は断言した。「あなたには閉じたファイルがある。わたしには閉じてしまうほど苦痛に感じるファイルがないのです。秘密も無い、閉じた扉もない――なにも隠されてはいません。ほかのひとには、隠れた部分があり、話す気になれないことがあるのだろうと推測はできます。扁桃核が海馬のファイルを閉ざしますが、わたしの場合、扁桃核は海馬のファイルを閉ざすほど激しい感情を呼び起こさないのです」


詳しいレビューは以下に掲載↓

http://www.uni-city.net/book/book22.html


さて、このマンガ「光とともに」です。



ごく一般的な日本の家庭に、自閉症児を抱えたとき、どういった問題に直面し、悩み、どう親として接していくか、というようなことが描かれています。



でも、これがもぉ、自閉症児だけの特殊な世界ではなく、どの子供をもつ親にも共感されるような、子育てマンガとしても読める!いえ、それ以上に社会人として、さまざまなつながりを持ち、社会を支えあっていく一個の人間として、泣ける話になっていました。


どんな人間でも、ひとりで山奥にこもって生活しているわけではありません。どんな人間でも完璧なわけでもありません。



かならず、誰かとかかわり、時に助けれられているはずです。



そうしたことの大切さがひしひし。特殊な本、というのではなく、ぜひ一読を。


8巻まで出ているようです。



機長からアナウンス (新潮文庫)

機長からアナウンス (新潮文庫)

もう一冊は「機長からのアナウンス」。飛行機といえば、日本では専門職が飛ばす、特別な輸送手段のようで、そのコクピットの中や、会社の内情までは不可侵的に思えてしまいます。その聖域を暴露するのがコレ! 



コクピットでの与太話からエアホステスたちの気の強さから、てんこ盛り。



著者はミステリーも書いている作家ですが、たぶん、かけてもいいけど、今後、売り上げをどんどん伸ばしていくのは、こっちのエッセイのほうだと思う。


実話に勝る面白話なし!


一緒に遭難したいひと 2 (ワイドKC)

一緒に遭難したいひと 2 (ワイドKC)


最後はコレ! やっと出ました。「一緒に遭難したいひと」の2巻です。

1巻目はバブルまっさかりに出て、ようやく出た2巻は、バブルはじけにはじけ、不況を超えてまたひとつの状態に落ち着こうとしている21世紀。時間かかりすぎです。

リアルタイムなら、主人公はもうすっかりイイトシのオバサマになっている計算です。

そんなわけなので、1巻目に出たときと、時代感も焦点もずれてしまっている感はいなめません。

バブリーな時代に、お金はなくても、ブランド物を身にまとい、デパートをこらしめなどして、華やかに贅沢に生きていた2人の女性は、なんともくすぐったく、届きそうで届かぬ、かげろうのような楽しさがつきまとったものです。

が、いまや、娘2人で貧乏共同生活をして、ブランド持っている、なんて普通の生活になっちゃってます。

西村しのぶが、そうした時代をつくった、とも言えるんですが、だからといって、その当人が変わらないのでは、さみしい限り。

それでもまぁ、マンガとして面白いので、2読、3読しちゃいました。